下越山岳会 会山行 平成21年2月A山行
飯豊連峰前衛 蒜場山 (1,323m)

下越山岳会3月A山行記録

春一番を吹かせた低気圧 気圧の傾斜は緩やか GPS LOG 雪の少ない治水ダム
サポートに見送られ いい朝だ。 烏帽子岩からのヤセ尾根 ロープ出そうかね・・・
上はチョッと・・・ イヤらしい残り方だ 蒜場山々頂 陽が射してきた。
吹き上げた雪の壁 歩き難い 痩せている部分 岩岳から振り返る



開催期間  平成21年2月14日(土)〜同15日(日)
山行形態  冬山低山テント泊
入山山域  飯豊連峰前衛
入山場所  新発田市東赤谷除雪終了点 登山口は加治川治水ダム
下山場所  同上
幕営地    岩岳より蒜場山方向へ約70m、標高で20m程下がった場所
参加者    本隊 CL坂場(DAE)さん・SL若月(HNC)さん・石井(NEN)さん・LTQ私
サポート
2月14日(土)渋谷(LOM)さん・安沢さん(TOF)さん
無線サポート 
川崎(VXT)さん・小林(LTK)さん・渋谷(LOM)さん
担当 LTQ

天候
2月14日(土)雨後曇り
2月15日(日)曇り時々晴れ夕方から雨

コースタイム他
2月14日(土)
06:30 集合場所集合出発
07:45 除雪終了点発(175m) 雨のため、バスの待合所でパッキング
08:25 琴沢
09:47 加治川治水ダム(300m)
11:40 サポートに見送られテン場へ向かう(656m)
13:00 テン場着
14:00 設営完了
21:00 就寝

2月15日(日)
04:30 起床
06:45 テン場発
07:50 烏帽子岩(1,020m)
10:00 山伏峰(1,320m)
10:27 蒜場山々頂(1,363m)
10:39 山頂発
11:02 山伏峰(1,320m)
12:10 烏帽子岩(1,020m)
12:55 テン場着
14:10 テン場発
14:15 岩岳(932m)
15:15 加治川治水ダム(300m)
16:20 琴沢
16:46 除雪終了点着(175m)
17:33 集合場所解散

GPSデータ
TP積算距離 21.1km
移動平均速  2.6km
全体平均速  1.5km
総上昇量   1,998m


概要
以前から、冬期の蒜場山には興味があった。しかし、そのアプローチの悪さから近年は冬期の登山対象にはなり難い状況になっている。昨年も会の先輩に話しを聞いたが、アプローチが問題であった。
時間が経過し、年末のある呑み会で、役員の一人から総会で来年度の山行予定が承認されたら、2月の会山行を蒜場にするから、担当して欲しいとのことであった。
正直調査不足もあり、平年並みの積雪であれば、東赤谷から加治川治水ダムまでを道路を利用し歩くことは雪崩の危険から、考え難い。そうすると、焼峰山から加治川治水ダム或いは、俎倉山を経由して岩岳へ向かう方法となる。そうすると冬期・荷揚げもナシで全て担ぎ上げとなると、1泊2日で届く気がしない。

ふと、目に留まったのが峡彩ランタン会さんのHPで拝見したら、この正月の冬山合宿を蒜場山で行っていたのだ。
彼らは二隊出していて、一隊は俎倉山経由で入って、もう一隊は車道を使いダムから入っていた。
秋のうちから準備をしていたのだろうけど積雪量が多かった場合ダム経由のルートはどう考えていたのだろうか?
やはり、俎倉山からのアプローチだったのだろうか?・・・・いずれにしても、平年並みの積雪量であれば苦労するルートであることは間違いない。

地形的に、俎倉山からの下りがあまり良い尾根ではなさそうで、降りた後も岩岳までの地形が判り難そうなので考えどころで計画としては悩ましいところだった。

そんな、こんなで・・・どうしたものか?そんな気持で積雪期に入ったが、一向に積雪が増えない。
これなら、車道を歩けそうな気がして、2月11日に偵察にダムまで行ってみたが、雪崩の心配はなく、
天候次第で1泊2日でピークを踏む可能性が高くなった。


記録

平成21年2月13日(金)に新潟を含む北陸地方でも春一番の観測が発表された。それにしても、今年は1月から500hpaの高度の平年偏差が正偏差で推移していて寒気が流れ込み難い状況が継続している。そのため、随分と平均気温も高めだ。

2月14日(土)
朝目覚めても、ちっとも寒くない。ただ、雨音が聞こえる。軽く食事を摂りコンビニに寄り集合場所へ。途中の外気温を示す掲示板が14℃と表示している。朝6時過ぎに14℃というのもかなりの高温だ。
集合場所で、NENさんの車にお世話になり、除雪終了点へ向かうが、雨が強いので途中のバスの待合所でパッキング。
すると、LOMさんから電話だが電波が弱く切れてしまった。
あまりの気温の高さで、中間着を脱いで、上は肌着の上に合羽を着て、素手でストックを持つ。
とても2月のスタイルじゃない。予定よりやや遅れて歩き出す。

治水ダムに至る道路は、前日までの高温と昨晩の強雨でガボガボ。プラブーで正解。所々で融雪水と雪でジャブジャブでかき氷の下の方の様な感じだ。加治川(飯豊川)本流も、枝沢からの水も濁流と化している。斜面の雪は少なく雪崩の心配はないが、落石の心配があった。
11日の偵察よりガックリと積雪量が減じている。雪解けのスピードに驚きながら治水ダムに着く。

軽く食事をとり、ネオプレーンの薄手のグローブを着けて歩き出す。薮の枝が、ザックの上部に引っかかり歩き難い。
重いザックが肩に食い込む。ザックの調整がオカシクなって担ぎ難くなった・・・・変だな変だなと思いつつ歩き続けたので肩が痛い。サポートのお二人と分かれる頃ようやく気が付いて直して担ぎ易くなった。やれやれもっと早く確認すりゃよかった。
サポートのお二人には長い距離、悪天候の中ありがとうございました。助かりました。

サポートと分かれる頃には雨は気にならない程度になっていた。荷物が重いのでユックリと進む。
テン場の選定はCLの得意技。地形を考え手を加える事が少なく、安全な場所を選ぶ。お陰で、テン場を決めてから
約1時間でテントの設営が完了した。

テントに落ち着いて先ずは乾杯!飲みながら、身の周りの私物、共同装備を入れたり出したり・・・・
雪を溶かし水を作る。時間はタップリとある。各自担ぎ上げたお酒とツマミで時間をユッタリと使い楽しんだ。
アプローチの悪さで人が入り難い山域であるので、我々以外誰もいない。
ヤマにドップリだ。小用のSLが雄たけびをあげていた。
般若心経、蓮如まで登場する高尚な話しから下世話な話しまで硬軟とり混ぜた、闇鍋の様な酩酊会談(怪談)も、何だか、よく判らないうちに大団円を迎え、収まるところに収まったのだが、翌朝には何がどう収まったのか忘れている。これも、毎度のパターンか?それでも、酔漢4人が熱く語り合ったことは確かではある。

酔漢4人は熱く語り、〆に熱い豚骨ラーメンを食べて就寝。3シーズンのスリーピングバッグ(ダウン400g)+シェラフカバー肌着・カッターシャツそんな程度で暖かく眠れた。(2月半ばでは通常考えられない。)

この夜は風もなく本当に静かな夜でグッスリ眠れた。夜中に一度目覚めた時も「でも、明け方は吹くんだろうな」と思ったが
全く風は気にならなかった。また、ボンヤリとテントの天が明るく感じていたが、月明かりがあったようだ。



2月15日(日)
04:30 起床、お湯を沸かして茶を飲んだりして朝食準備。朝食後、テント内に荷物を置いて出発準備。
出発前にZDF局を呼んでみると、VXT、LOM、LTKが出てくれた。お天気は下り傾向とのこと。
テン場でハーネスを付けて出かける。気温は手元寒暖計で0℃位。雪はザラメで柔らかい。
烏帽子岩までは、スノーシューでノソノソ登る。烏帽子岩のクサリは露出していた。もっとも、ボクはこの様なクサリ類は捉まる事はほとんど無い。支点の状態が判らない物にエイッ!と体重はかけ難いものだ、スノーシューと手を使いノソノソと何か鈍重な生き物みたいに登る。

烏帽子岩で足回りをクランポンに変える。ここから距離で約500m位がヤセ尾根でその場所、所で雪庇の出方が変わるような場所だが基本的には、南西側からの風がベースなのだろう。古岐沢方向へ出ている所の方が多い気がするし、概して急峻なのは古岐沢方向への落ち込みである。

ロープを出してスタカットで通過する。中間部でデッドマンを埋めて通過、合計で5P位だったか・・・
尾根が広くなったところでスノーシューに履き替え登る。お節介な、ホシガラスが興味深そうに我々を眺めていた。
北の雲は黒く湿り気を感じさせるが、風上の南西側はまだ青空だ。
小面峰からの尾根が右から入ってきて、山伏峰。辺りの木々は霧氷が付いている。やっと雪面が硬くなり、再びクランポンに履き替えて、ZDF各局を呼ぶ。VXT局が出てくれて現在位置を報告し、次回交信を13時とした。
ガス帯に入り視界が落ちる。山伏峰から先も雪が引っ張られてズタズタの場所があり時折ハマるが、低木の上なので脚が埋まる程度。あまり出ていない雪庇を廻り込むと、山頂は指呼の距離。

10時27分山頂着。
残念ながら、視界はなく絶景は楽しめなかったが、下越山岳会で蒜場山・二王子岳に標柱を昨年夏に建立したが、建立直後の冬の時期に訪れることができたのは、タイムリーであった。
寒いので写真を撮り、早々に下山する。山伏峰まで下山した頃、ガスがスッと晴れあがり山頂が見えた。西側には俎倉山、五頭山塊が一望できた。
きっと、俎倉山では、県山協の雪山講習会の参加の面々が、昼食の準備でもしている頃か?
そういや、ナンだか西風に乗り匂ってきたぞ。等と冗談を言いながら下山の歩を進める。朝、スタカットで通過したところもバケツ穴状態なので、比較的危険も少なかろうとコンテで通過した。

ホンとに危なければスタカットで、かなり安全な感じであればコンテが良いと思う。スタカット程じゃないが、巻き込まれも困る。そんな場所なら、寧ろフリーの方が良いと思う。
怪しい所をロープに気を使いながらというのは、集中度から云えばかえって難しい様に思う。
スピードを合わせて4人で烏帽子岩まで戻りロープを解いた。烏帽子岩を下り、杉が出てきた辺りでスノーシューに履き替える。

ゴ〜ン・ド〜ンという底雪崩(全層)の音が響く。下のほうで雪煙が上がっているのが判る。2月の半ばに底雪崩かい・・・
ここ数日この季節にしては異常に暖かく、おまけに大雨が降ったので春の底雪崩シーズンの様な状態だったのだろう。

登りではごく普通の斜面も滑り落ちていた。傾斜も緩い場所なのだが相当に滑り易い状況なのだろう。
腐った雪にうんざりしながら、テン場に向かう。
テン場に到着して、波を出しVXTにテン場着を伝えた。テントを撤収してから湯を沸かして軽く食事を摂り下山を開始。
昨日登った時から比較しても驚くほど雪が減っている。
スノーシューやらワカンは雪の上を歩く道具であり、木の根や岩の上を歩く道具ではないよなぁ・・・などと思いながら、切れ切れの尾根上の雪を探しあるく。

下部の薮を潜り登山口。ダムまで降りると小雨が降ってきた。道路上の雪も一日で随分減った。随分と融雪が進み路面が部分的に露出していてスノーシェッドからはツボ足で駐車場所まで歩く事ができた。
スノーシェッドあたりからは、雨も本降り。黙々と歩いて車に辿り着いて、早々に集合場所へ戻りCLから自宅着まで気を許すなと一言頂き解散。会長に無事下山し解散した報告の電話連絡を入れて帰途に着いた。

今回は天候に恵まれて、たまたま山頂に立つことができました。この記録を書いている平成21年2月17日(火)は地元では今年一番の降雪と寒さ。まともに山行と寒気が当れば、登頂は無理だと思う。
また、アプローチの車道も、ブカブカの雪なら3時間以上はかかると考えていた。登りの雨と高温であったが、総じて天候に恵まれたといえる。

やはり、俎倉山から蒜場山へ到るルートが厳冬期の正攻法と思う。
そういう意味では、まだ、志半ばである。
俎倉山〜岩岳の間の調査を行い、完全縦走をいつの日か・・・と考えている。

追記
下山後、この記録を書いた2月16日(月)〜17日(火)は新発田市内はこの冬一番の降雪があった。
数日この寒気がずれていたら、相当に難儀したはずだ。
登頂という点で言えば、天に恵まれたといえる山行だった。


以前の記録へ戻る


トップページへ戻る